5/18/2018

大学スポーツは教育の一貫である

日本大学アメリカンフットボール部の選手による悪質な反則行為が「社会問題化」し、各種メディアによる報道がエスカレートしている。昨夜、NHKの夜7時のニュース番組では、トップニュースとして関西学院大学アメリカンフットボール部の記者会見の様子が報じられていた。また、お昼時のワイドショー番組では、関学の記者会見が生放送されていた。

日本では残念ながら未だマイナースポーツであるアメリカンフットボールが、こんな形で大きく取り上げられ、有名になってしまったことが悔しくてならないし、あらためて今回の悪質極まりない反則行為に憤りを覚える。

それにしても、今回の日大の対応は、「なんで?」と思うほどマズい。
反則行為そのものがダメなことだし、それを指導者が選手に科したとすればさらに大きな問題だが、その後の対応として、自らの非を頑なに認めようとせず、一向に責任者が矢面に立って頭を下げようとしないところは、ほかに何か隠さなければならない「なにか」があるのか、と思わせるほど不思議だ。

関学の記者会見を受けて、ようやく日大の部長と監督が負傷した関学の選手と保護者に謝罪に行くことになったとの報道もあるが、今さら??と思わざるを得ない。

30年以上憧れ続けたチームの大失態には、本当に落胆させられる。

テレビのワイドショー番組でこの件が大きく取り上げられ、おもしろおかしくではないが、お笑いタレントや弁護士らがさも分かったように、体育会の上下関係がどうのスパルタ式の指導がどうのとあやふやにコメントし、アメリカンフットボールのネガティブキャンペーンかと思われるほど当該動画が繰り返し放送されるのは本当に悲しい。

そんな中、たまたま見た昼のワイドショー番組にゲスト出演していた近藤祐司氏のコメントは、最も的を得ていたように思える。

すなわちこの件は、大学の課外活動団体であるアメリカンフットボール部同士の試合中に行われたことであり、大学教育の一環として行われたことであるから、大学が動かなければならない、といった趣旨の発言をされていたのである。

私もそのとおりだと思う。
近藤祐司氏は、立命館大学アメリカンフットボール部の出身で、大学日本一も経験。現在はスポーツキャスターとして活躍されている方だが、ワイドショーの番組司会者や他のコメンテーターが反則行為をした選手やサイドラインにいる選手たち、また反則行為を指示したのではないかと思われる監督や指導者を非難するようなコメントに終始する中、大学が行っている教育の一貫であり、もっと大学が表に出るべきだといった発言をしてくれて本当に有り難いと思った。

反則は悪質だし、それを指導者が指示したとすれば、これをほど卑劣なことはないが、その部分だけが切り取られて責任を指導者や当該選手に求め、吊るし上げようとするのは間違っていると思う。当然、表に出て速やかに謝罪すべきだと思うが、それは日大の対応が極めて遅く、誤っているからそう思うのであって、悪質な反則の1プレー目で当該選手をサイドラインに引っ込め、試合直後に謝罪していれば、そもそもこんな社会問題化することはなかったはず。しかし、それを怠ったからといって、その後の対応もアメリカンフットボール部にだけ負わせよう、あるいは当該選手に責任を負わせようという日大の大学としての対応は、まずい、という言葉だけでは足りないと言える。

日大も大学として正式にコメントを発表しているが、教育機関が公平公正な立場で発したものとは到底思えない内容になっていて、どうにも納得できるものではない。大学スポーツは教育の一貫である、ということを、大学も指導者も選手も決して忘れてはならないし、観る側も、そのことをほんの少しでいいから覚えていただいて、楽しんでもらえたらうれしい。

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